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オリジナル長編(?)小説を展開しています。
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私立・空猫高校。何て事は無い、普通の高等学校だ。
しかし、そこを取り締まるある組織がある。人々は畏怖の感情を込め、その名を呼ぶ。
空猫生徒会。
通称、月夜の猫たち。

1 高校を暗躍するたちについて
 
いつもと変わらぬ、空猫高校の朝。校門では明るい挨拶が飛び交う。
・・・いつもなら。
しかし、今回は空猫生徒会の抜き打ち服装点検の日だった。
 
「そこ! てめーは何度言ったら分かるんだ? スカート丈は最大膝上10cmだ!」
まず、ここで大声張り上げて怒鳴っているぼさぼさ黒髪の男。生徒会長、孝鳥の真。
何故会長に異名が付かなくてはいけないのだろうか。答えは、会長が強いからである。
英語で言えばストロンゲスト。剣道大会で毎年優勝候補に上る彼は校則違反にとことん厳しく、その残忍さと無駄の無い計算されつくした行動から「孝鳥」の異名をとっている。
顔立ちは凛々しく、女子からの人気も高い。
しかし、今は真夏。半袖の者たちが暑さに呻く時期なのに、彼だけは何故か冬服である。加え、彼は怒ると愛用の竹刀「黒猫」を振り回すという悪癖があった。
それの両方とも校則に美しく違反しているが、誰も言えなかった。それ程に真は恐ろしい。
 
「真さん、落ち着いて。そこのあなた、次回から直してくださいね」
真を宥めながら先程彼が注意した女子にそう言ったのは、副会長の千鳥。
この学校内で唯一といって良い(実はもう2人いるが)、真と対等に渡り合える者である。
長い黒髪を揺らして笑うその姿は多くの男子生徒を惹きつけて離さない。
容姿端麗、頭脳明晰。完璧要素を持つ彼女だが、矢張り生徒たちから恐れられている。
「ええっと、あなたは確か、2-Bの桜崎さんですね? 注意されたのはこれで4回目か。次回直して来なかったら、こちらからも相当の処罰をさせて頂きます。あ、そこの人、ゲーム機は学校に持って来てはいけない物の筈ですが? そういう事ばかりするからいつまで経っても成績が伸びないんですよ。あなたは3年生でしょう? そんな事に現を抜かす暇があったら少しでもその脳に何か詰め込みなさい。後で泣くのはあなたですよ」
毒舌である。
彼女が小脇に抱えているのはブラックリスト。違反行為をしたら即その名簿に名前が載り、数日後に何かが起こるらしい。体験者は多くを語らない。ただ震えて
『エヴィバディ、プッチン』
と、言うらしい。
 
「全く皆、だらしが無い。千鳥の言う通りだぜ? なっ、千鳥!」
千鳥に抱き付こうとして、彼女にあっさり回避されてしまった哀れな少年の名は竜也。
空猫生徒会会計&書記という結構無茶な役である。
千鳥と同じ結城姓を持っており、千鳥の従兄だが、
『従兄妹なら結婚できるんだぜ! 千鳥っ!』
が、口癖だ。しかし千鳥は敢え無くスルー。千鳥の想いの矛先は真だ。
だからか、竜也は真に対して冷たい態度を取る。気がする。
 
この恐怖に支配された生徒会。服装点検は生活委員か風紀委員がやるもんでしょーが! とか思う方がいらっしゃるかも知れないが、彼らは学校の行事等々に積極的に参加する極めて性質の悪い集団なので(因みに去年の体育祭は、生徒会メンバーが参加したA組がダントツ優勝でしたジーザス!)、他の委員会の仕事をもるんるん気分で奪うのだ。
お蔭で生活、もとい風紀委員は半帰宅委員会状態になっている。(委員会なのに・・・)
しかし、その尊敬と畏怖の対象、「空猫生徒会」は表の顔でしかない。
夕闇が町を飲み込み、小町という名の町娘が小橋をたれかとすれ違う時、「誰そ、彼?」と聞く時刻ごろ(要するに黄昏です)、猫たちは動き出す。
 
「鷹、今回の目標は?」
黒服に身を包んだ人影が、後ろに控える者に尋ねる。その声の低さからして、男だろう。
「はい。此処から南西の方向約1km先の廃墟に潜伏中の集団です。調べに寄れば、多数の武器を集めている模様です。それに、麻薬に手を出している、とも」
ぱたんと黒い帳簿を閉め、男の背後にいた人物が言う。透き通った綺麗な声で、女のものであると想像できる。男は女の言葉を聞き、頷いた。
「分かった。鷹は右、龍は左から攻め込め。俺は中央から囮も含めて誘導突破する」
はい、了解、と、闇から声がする。
男は頷き、走り出した。
 
男たちは、既に深夜だというのに、馬鹿騒ぎをしていた。
幸い、ここは周りに民家が無い。ぽつんと建った廃墟だった。
彼らの手には、普通の者が見たら顔色を蒼くする代物が握られている。
彼らは、それを「ヤク」と呼んでいた。
さて、このまま夜まで遊び回そうか。
ある男がそう思いながら空を見上げた。この廃墟は大部分が破損し、この位置からだと空が良く見える。そこに、ひとつ影が横切った気がした。しかし、彼は気にも留めない。これはきっと、彼が今「服用」したばかりの「ヤク」の副作用だと思ったからであろう。
しかし、それが、男の不幸だった。
 
「おらァ!」
先程の、黒服の男は叫び、持っている竹刀を振り上げた。みょぅん、という、間延びのある音がした後で、その場に溜まっていた男たちの騒ぎ声。
その中心には、伸されて倒れている、1人の男。
「・・・てめーはっ・・・」
色取り取りのふざけた服を着た男たちの、怯えた声。それとは正反対の黒尽くめの男は、ふう、と大仰に息を吐いた。
「安心しろ。死んじゃいねえよ」
「・・・・・・月猫!?」
怯える男の1人がそう呟くと、黒尽くめは竹刀を構え直した。
「ああ。いかにも俺たちはてめーらみたいな腐った野郎どもを叩き直す正義の鉄槌者・・・」
黒尽くめの背後から、ふたつの影。
「月猫だ!」
黒尽くめは、大声で楽しそうに叫んだ。
 
「ふぃ~・・・」
日は変わり、その翌日の空猫生徒会室。副会長の千鳥は、目をしきりに擦っていた。
「真さぁん、珈琲如何ですか? あたし、飲みたいので煎れますけど」
くるりと椅子が窓側からこちらに向き、座っている会長の真が顔を見せた。酷い隈だ。
「頼む・・・。こう眠くちゃあ、おちおち仕事もこなせねぇ」
ふぁい、と、千鳥が欠伸の様な返事を返して生徒会室の隣にある台所へ消える。それを見送って、書記兼会計の竜也は真に寝惚け眼を遣る。
「いやぁ、頑張って麻薬所持疑惑のある奴らを叩いて失神させて、やっぱりあったぜ麻薬さん! みたいな感じで、匿名で警察に検挙して警察が来る前に素早く撤退して、夜通しで戦ったからすっげえ疲れたんだけどこの事俺たちの他は誰も知らない、っていう。正義の味方も大変っスね、会長」
「全くだ」
真は大欠伸をした。
千鳥が、猫舌の真に合わせてほかほかの珈琲を持って来た。
 
皆さんの下にも、怖い人とか、いませんか?
そういう人は、案外影で凄い事、してくれているかもしれませんよ。
 
* 波乱の幕開け。無事に出来るかな? がーんばろ。
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